50歳を過ぎると、自分の年もわからなくなってきているふあららいです。
アメリカの映画やドラマを観ていると、彼らの「誕生日は特別な何かをしてあげる日」っていう感性を受け取らずにはいられません。
職場の同僚の誕生日にホールケーキを持ち込んで仕事そっちのけでお祝いしたり、家庭では子供の誕生日に大勢のお友達を招いてパーティーを開き、学生寮では真っ暗な部屋に一人戻って灯りをつけると「サプラーイズ」って友人たちが飛び出て来たり・・・
実際のアメリカ人が皆こんなハッピーでワイワイした誕生日を迎えているのかはわかりませんが、実はサンフランシスコ滞在中に私の誕生日があり、その一部を垣間見るというか経験することができたのです。
5月のある日、ハリエットが言いました。
「日曜日の夕食は外に食べに行くから」
「はいはい」
と返事をしたら
「あなたのバースデーだから」
自分の誕生日何て頭になかったのでびっくりしたのと同時にとても嬉しくなりました。 まさか31本のローソクを消せなんて言われるんじゃないだろうなぁ・・・
そしてやって来た日曜日。 その前の金土とハリエットと友人Y子と3人で行ったモントレーへの1泊旅行の後で、実はとても疲れていました。
8時半に家を出て、ゴールデンゲートブリッジを渡って北に向かいました。 今日はパンケーキ・ハイクです。 山に登るとそこにはパンケーキを食べさせるロッジがあるそうなのです。 メンバーはハリエットと私。 車を降りて歩き出すころには空模様が怪しくなってきました。 その後、雨が降り始めてハイキングは中止に。 麓のレストランで朝食を食べて帰ることにしました。
レストランはログハウスの山小屋風で、悪天候で気温が低かったこともあり暖炉に火が焚かれています。 この時初めて本物の暖炉を体験して、薪の爆(は)ぜる音を聴きながらとても暖かくていいものだなあと思いました。 頂上のロッジの代わりにここでパンケーキを食べたいと思ったのですが、あいにくパンケーキはメニューになかったのでフレンチトーストを頼みました。
しばらくしてやって来たフレンチトーストを見てビックリ! 火の灯った小さなローソクが1本立っていたのです。 知らぬ間にハリエットがスタッフに頼んでいたのでした。 嬉しさと照れくささの中、ローソクを吹き消してハリエットに感謝を伝えました。
サンフランシスコに戻り、家には帰らず港の方へ。 昔、海軍が使っていた建物がスタジオとしてアーティストに利用されていて、その日に年に1回の展示販売会が催されるのだそうです。 そこで様々なアート作品に触れ、無料のポストカードを貰いました。 ハリエットはレーザー細工の施された鉄板を買っていました。
3時過ぎに家に帰った時には私は疲労困憊で、英語の理解力も30%に低下。 ハリエットが話すのを聞き返すことが多くなり、共に疲れていた彼女をイライラさせてしまいました。 しかし今日はまだ終わらない。 夜7時にイタリアンレストランでディナーが待っているのです。
部屋で休んでいると私の部屋の電話が鳴り、誰からだろうと受話器を取らずに留守電に入るメッセージを聞いてみると、それは英語を話す男性でした。
「ハロー、ふあららい? あ~ 誰か電話に出てくれ~、ふあららいかハリエット~、ジェスなんだけど~」
そこで電話の相手がジェシーだとわかりすぐに出ました。 始めなにか話していたのですが、よくわからなくて聞き流していたら少し間が空いた後こう言いました。
「Ah~, Happy Birthday・・・」
これは全くの予想外でおそらくハリエットにこうしろと命じられたのだとは思いますが、とても嬉しくて「Thank you!」とお礼を言い、ハリエットに代わりました。 ハリエットがディナーに来るよう言っていましたが、8時まで仕事だそうで終わったら駆けつけるという事になりました。
イタリアンのディナーは何を食べたかは覚えていませんが、とても美味しかったと親へのメールに書いています。 食べ終わって伝票をもらったところにジェシーが登場しました。 やっとハリエットのまともな話し相手がやって来てホッとしました。 後は二人の会話を聞きながらニコニコしていればいいのです。
レストランを出てしばらく3人で周辺を散歩しました。 ジェラート屋さんでジェシーがご馳走してくれました。 ジェラートを食べながら話をしている時、ジェシーが何かを訪ねてきたのですが、間違えて私を猫の名前(Sushi)で呼んでしまいました。
「Sushi は~~~かい?」
彼の頭の中では常にSushiとSで始まる私の名前がグルグル回っているようで、笑いながら詫びてくれました。 「meow(ミャウ)」と猫の鳴きまねをして返すと爆笑していました。
とても疲れたけど、最後は楽しく過ごすことができました。 感謝感謝です
ハリエットの誕生日が7月で帰国後だったのですが、もちろんバースデーカードを送りましたよ。 ちなみに秋にジェシーの誕生日があり、その年に40歳の節目を迎える彼に盛大なパーティーを計画しているとハリエットが言っていました。 きっと相当なものなのだろうな~。
(わがままボディの猫のSushiとパチリ)