「とうしょうだいじ」を漢字で書けなかったふあららいです。「だい」が思い出せませんでした。
中学校の修学旅行以来、奈良を再訪するにあたりぜひ訪れたかったのが唐招提寺です。初日に行った東大寺は、奈良を代表する名所だから押さえておこうと思ったのですが、唐招提寺は違います。確認したいことがあったのです。
修学旅行で訪れた時、私は金堂の天平の甍を見て「ハッ」としたのでした。別の表現だと「雷に打たれたような」とか「頭をガツンと殴られたような」などとなるのかもしれませんが、とにかく「ハッ」としたのです。何かを見て「ハッ」とする体験はこの時が初めてでした。15歳の多感な少女はこの現象に理由を付けたがり、「自分はきっと過去この時代にこの場所に生きていたのだ」もしくは「当時の唐の人だったのかも」と想像をかき立てたのでした。でなければ意味もなく「ハッ」とするわけがないと。
というわけで、もう一度この地を訪れて金堂を見上げてまた「ハッ」とすることがあれば、やはり「自分はこの時代の人」または「唐の人」であったと確定したいという思惑を持っての再訪となりました。
で、結果は・・・なんとも思わなかった、です。「ハッ」は初見限定の反応なのですかね。
修学旅行の時は確かこちら側から来てこの角度で見たはず・・・とアングルを調整しても「ハッ」とせず。おかしいな。
私は「奈良時代の人」でも「唐の人」でもなかったようです。
ちなみにその後の人生において、もう一度「ハッ」としたことがあります。それは高校1年の夏休みに松本を訪れた時。駅前に出て、東にまっすぐ伸びる大通りの先、ビルとビルの間に美ヶ原の姿が見えたその瞬間、人生2回目の「ハッ」となったのでした。その時も多感な16歳は「きっと前世で松本に住んでいたのだ」と理由付けをして悦に入っていたのでした。そして、その時から15年後に松本に移住をしたのです。
「ハッ」の不発に落胆しながら境内を回ります。
瓦に「唐招提寺」の文字が。微妙にアンバランスなのがいいです。
屋根の先の反り具合が私好みです。韓国の王宮の建物もこのぐらいの反りだったような。
まあとにかく端正で均整が取れていて、見ているだけで気持ちがスッとします。
唐招提寺は中国の名僧・鑑真和上を迎えて開いた律宗の総本山です。6回のチャレンジの末、日本に渡るも途中に疲労などから失明してしまった鑑真和上。5回の渡航失敗もすべて荒天のせいだと思っていたのですが、1回目、3回目、4回目は渡航に反対の弟子など周りの人のせいで渡航ができなかったそうです。荒天で遭難したのは2回目と5回目だけでした。6回目に3週間かけて沖縄本島を経由して屋久島に到着、奈良の都に着くのはそれから更に2か月先のこととなります。
日本風のお堂があると思ったら元禄時代の建物だそうです。この開山堂には教科書に載っていた鑑真和上像のお身代わりがありますが、写真撮影は禁止でした。「大変な苦難の末、日本に来てくださってありがとうございます」と感謝の念を捧げました。
この感じ、韓国時代劇っぽくない?
校倉造りの建物が二つありました。こちらは経蔵で、唐招提寺の中で最古の建物、日本においても最も古い校倉だそうです。
木材の形が微妙に違っていますが、受ける方も形に合わせて削っているので問題ないのでしょうね。もっとも昔は製材も人の手でやっていた訳ですから、キッチリと揃えるのは無理ですよね。
訪れたのは10時頃だったのですが、修学旅行生は全く来ていなくて、目立つのは中国語を話す個人グループくらいで、ゆっくり静かに見学できました。
>>> 時間が余り興福寺へ行ってみたへつづく >>>