目覚ましの設定完了を押すの忘れて寝坊したふあららいです。1年に一回はこれをやっているような気がします。
グレーシャーポイントの売店でサンドイッチを買って、適当な日陰でランチを済ませたのち、再び出発です。ちなみに容器に入った出来合いのサンドイッチ二つとオレオアイス(とても暑かったので美味しかった)一つでデビット引き落としは合計3585円でした。
ワウォナロードをひたすら南下します。標高もどんどん下がっていきます。
運転しながらつぶやきました。
「バンクがとってあって走りやすいなあ」
「それ俺も思ってた」
そう、カーブでのバンク角がしっかりあるので、なめらかに走行できて快適なんです。実際に運転してみてわかる、ちょっとした日本との違いでした。
白いコロニアル様式の建物が見えてきました。
ワウォナホテルと言って、最初にカリービレッジの予約が取れなかった時に代わりに押さえた宿です。
「なかなかいいじゃん」
とダーリンさんは言いますが、このホテルからヨセミテバレーの中まで行くのに車で45分はかかります。カリービレッジが取れてよかった。
グレーシャーポイントから1時間かけてマリポサグローブ・ウェルカムプラザに到着しました。ここも国立公園内です。
ここでおトイレを済ませてから、シャトルバスに乗ってトレイルの入口へ移動します。
ここから歩き始めました。
2000年に行った時はトラクターがけん引するトラムに乗って楽に回りましたが、その後自然保護の観点からトラムツアーは廃止され、歩いて行くことしかできません。
いきなりすごいのが現れました。
自然に倒れた木でしょうか? その大きさに衝撃を受けるダーリンさん。
我が家が目指すグリズリージャイアントに比べたら、これらの木なんてまだまだ。
緩い坂道をゆっくりと登ります。
気温はおそらく30℃以上。日本の酷暑に比べれば大したことないかもしれませんが、空気が乾燥していてとにかく喉が渇きます。その時はコストコで買ったちびボトル水を1本しか持ってなくて、無くならないよう少しずつ飲みました。
はあはあ、しんどい、しんどい・・・
休み休み20分以上かけて登って来ると、見えてきました。
マリポサグローブで一番有名なセコイアツリー、愛称はグリズリージャイアント。
高さ63.7m、根元部分の直径が8.5m、胴回りは29mにもなり、ヨセミテ国立公園内で最大のセコイアツリーです。まさにジャイアント。
幹の内部が黒く焦げているのは過去の山火事のせいです。この地では平均して20年に5回は山火事が起きているのだとか。それらの山火事や落雷の被害により、根元から水を運ぶ能力が失われた為、先端が枯れてしまっているそうです。もはや上に伸びることができないということですね。
園芸用語でいうピンチ(摘芯=茎の先をカットすることによって、脇芽の生長を促すこと)と同じような状態になったことで、脇芽いや脇枝が伸びてこのような姿になってしまったのですね。
右に出ているL字型の枝の直径は約2mで、周辺にある木の幹より太いそうです。すごい。
さらに驚くべきはその樹齢。ウィキペディア(英語版)によると、2019年に実施された科学的年代測定法で、なんと2995歳(誤差±250年)との結果が出たそうです。
2995歳と判定された2019年から5年経った今年(2024年)は御年3000歳のアニバーサリーイヤーではないですか。いやめでたい。3千年ともなると何寿になるんでしょう?
じっと見つめていると、じわじわと涙が溢れてきました。
なにごとの おわしますかは しらねども
かたじけなさに なみだこぼるる
3000年もこの地にいて、移動することもなく(当然ですが)ず~っとここにいて、数えきれないほどの山火事の危機を乗り越え、ず~っと受け身の人生(?)を送っているこのお方に畏怖の念を抱かずにはいられません。この先仮に大きな山火事で焼け朽ちてしまうことになっても、その運命を静かに受け入れるんだろうな。そういう潔さが尊いというかなんというか。
自分はあと数十年でこの世から去らねばなりませんが、この木にはどうかこのままずっとずーっといつ久しくこの地にいてほしいと思ったのでした。
目に溜まった涙を指でぬぐいつつ先に進むとこんな木が。
トンネルツリーです。人々が嬉しそうに通り抜けて写真を撮っています。木も「どうぞどうぞ♪ 」と楽しんでいるように見えました。
前を歩くグループの会話が耳に入ってきます。おじさんがもう一人のおじさんに講釈をしています。
「セコイアっていうのはスペイン語で『ジャイアント』という意味だから、ジャイアントセコイアって言うと『ジャイアントジャイアント』になってしまうんだよ」
へえ~そうなんだ。よく聞く、チゲは『鍋』っていう意味だからチゲ鍋は『鍋鍋』になってしまうよ~というのと同じパターンね。なんて感心して聞いていたのですが、後で調べてみるとスペイン語の「secoya」は、やはり「セコイアの木」を差すようで、あのおじさんは相手のおじさんを担いだんだな、ということに落ち着きました。(「大きな木」という意味もなくはないみたいですが)
我が家が歩いたトレイルは超初心者コースで往復3kmにも満たない距離でした。しかし暑さと喉の渇きできつかったです。
喉がカラカラなのに涙でさらにいくばくかの水分を失い、這う這うの体でシャトルバスに乗り、ウェルカムプラザに戻りました。とうとうちびボトルの水も飲み干し、売店で買わなくちゃ~と思ったのですが、思い出しました。車のトランクに積んである「命の水」の存在を。トランクに積みっぱなしにしておいてよかった~。
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